ガラにもなく夢小説みたいなことします。

憧れの絵描きさんは、意外と柔らかく笑う人でした。


とても気になっていた画家さんに、思い切って絵を依頼することにした。


たまたま地元の新聞で知った画家さんで、個展も何度か観に行った。


可愛らしい動物・鮮やかな風景画・妖艶な妖怪をイメージした絵と様々なテーマで描いていたが、一番好きなのは『どす黒い感情を紙にぶちまけた』絵。


私自身は、きらきらしたアイドルの歌とかさっぱりハマらなくて、不倫・失恋・傷心・懐古みたいな「寂しさ」、「心に閉じ込めた思い出」や「真っ黒な憎しみ」や「怒り」みたいな歌が好きだから、それを思いうかべる絵に直感的に共鳴したんだろう。


SNSや過去の新聞に載っている情報を色々見漁っていくと、好きなバンドがたまたま同じだったようで「そりゃ共鳴するよ」と思い、余計にファンになるきっかけとなったのだ。


嬉しさのあまりメッセージを送ったらリアクションまで返ってきたから驚いた。


そのバンド、いわゆるV系で、中でも結構詩も表現もキツいわグロテスクだわで民放を出禁になったと噂されているのもあり、一般ウケしないのだ。


ほんとは「一番好き!」なんだけど、正直に言ったところで知らない・怖い・グロいので、リアクションに困られる。オフィシャルな場では2番手・3番手以降を言っておくんだけど、いつももどかしくて。


そうした「人から避けられる趣味」を肯定してもらえたようで嬉しかった。


依頼は、価格と住宅スペースの兼ね合いがあるので、卓上サイズで「このアーティストの曲で思い浮かんだものを描いてほしい」と頼んだ。


その曲は、ビジュアル系なのを忘れる程よいテンポなのに、しっとりと「真夏の思い出」「秘密の関係の男女の、人目を忍ぶ恋心」を歌っているような歌詞がとても切ないもの。


細かな情景を想像する為に、何度も何度も何度も聴いてしまう歌なのだ。


誰とも共有できなかった世界観、この方はどんな風に表現するんだろう。

楽しみ。


1か月後、依頼したものができたとのことで、連絡をいただいた。

町の手近なカフェを指定して、数日後にお会いすることにした。


実は、仕事の関係で、遠目で少しだけお見掛けすることはあった。でも、ちゃんと会うのは初めてでドキドキする。


この感情は、恋のようなそうじゃないような。不思議な感覚で戸惑ってしまう。


恋愛って、その人自身を好きになることだけど、私が崇拝しているのは『絵描き』としての「その人」なのだ。私が好きなものが好きで、好きなものを詰め込んだ「絶対いない」と思っていた存在がリアルに目の前にいる。その高揚感でハマったという。


これは恋愛じゃなくて「コンテンツ」として好きなのか。

考えるほどわからない。


まあ、リアルで告白しても10歳以上年上の人のようだから『幼い時に懐いてくれた親戚の女の子が、成長してから昔の淡い感情を語った』くらいの感覚だろうな…。


あー。かんがえるのやーめた!

意外と一時的にめちゃくちゃ「おねつ」なだけかもしれないし。


暴走するのは悪い癖だ。



さぁて。お会いできる時には何を着ていこうかな♪

気づけば、あふれ出る笑みをこらえきれぬままお気に入りの洋服をいくつか出していた。

馬鹿だな、私。



~あとがき~

…気がむいたら続編だします。笑。

最近、影響を受けた方が身近にいたので、久々に創作意欲とお話がちょっとできたのです。


いくつかお話が貯まったら、どこか専用のサイトに修正して掲載しなおしてみようと思います。

rikka's Diary

自分にしか書けないこと

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