夢小説 ラスト

5

さてその翌日、打合せの日取りをきめるために電話をかけることにした。

やたらドキドキする。しかし、淡々と話すことにした。仕事だもの。

淡々と日程を決め、電話を終えたが、変な汗がしばらく止まらなかった。


後日…

なかなか寝付けないまま当日を迎えた。

そわそわしながら他のタスクをこなしていたが、ふと時計をみると、約束の時間の10分前だがなにも連絡がないし、本人もいない。


ケータイをみる。メッセージが入っていた。

「事務所の住所って○○町でしたっけ」


あれ、今更?

とりあえず、改めて住所と位置情報を送り電話をした。


「いやぁ、知り合いに御社の事業所にいくって話したら隣町だと言われまして。マップをだしたら明らかにおかしな方向さしたから不安になったんです~。ということで遅れます。ごめんなさい。」


あれ、意外と天然?…隣町にあるのは他社の事業所跡地のはず。素直に騙されている。多分この地方に十数年ぶりに戻ってきて数年しかいないから、わからなかったのかしら。

また電話だ。


「ついたんですけど、暗証番号?がいるみたいなんです。」

「そっちじゃないです!!いま行きます。」


暗証番号を入れるのは来客入り口ではなく、従業員側の入り口。つまり裏口だ。

あわてて出ていく。真っ黒い人がゆっくり歩いてきた。

「いやぁ、申し訳ありませんねぇ」


6

そわそわしていた気持ちはどこへやら。

表口から入ってもらい、打合せブースに入ってもらった。


またまた1対1で二人きりで話してる・・・!と、打合せをこなす自分を俯瞰で見ている自分がいた。


打合せは、単発の活動紹介記事を私が運営に携わっているサイトに掲載すること。

その内容にかかわる商談と取材日程を決めることだった。


私の仕事はライターだ。地域のあらゆる事柄の紹介記事を書き、発信するという仕事である。今回、憧れの絵描きさんから「僕のことも書いてよ」なんて言ってもらえたもんだから、喜んでお話をさせていただいたというわけだ。


商談に関しては、成功。


ただ、取材や撮影場所に関して「ご自宅がアトリエ兼でしたよね?撮影にうかがうこともできますが」と、話を詰めていたら思いもよらない返答をされたのだ。


「んー。同居人がいるので、自宅の訪問はその人と相談していいですか」とのこと。


…同居人かぁ。作品で「子供が流れた過去がある」って話してやつあったもんな。籍はいれてないパートナーって感じかなあ。


浮かれ果てて数日苦しかった心臓がやっと落ち着いた。冷静になれた気がする。

俯瞰していた私も、ふっと消え、意識がきちんと目の前に戻ってきた。


7

憧れは手が届かないから美しいんだ。謎めいているから想像して遊ぶ。それで楽しいのさ。


悔し紛れではない、2週間の恋の結末。頬を伝うのは、なんだろう。汗かな。

打合せを終え、相手をきちんと見送りながら少しだけ立ち尽くしていた。


妖艶なボルドーのセダンの車を走らせ去っていく、あのお方。

ちょっぴり苦しいけど、推しという気持ちは変わりません!

大好きです。



~あとがき~

久しぶりになりました。4か月ぶり?


本業の方が色々あって大変な目にあっていたのです。

ブラジリアン柔術の大会へ初出場を果たしてみたり、とどめを刺されて転職活動をしていたり(←成功したので、4月から新しい職場にいきます)。


クラウドワーカー以外の書き物仕事も模索したいなぁ。

コラムの執筆依頼、まってます。


そうそう。

この夢小説、その後の番外編もあるんです。意外な結末、また時間が出来たら書いてみます。

rikka's Diary

自分にしか書けないこと

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