あれから数年。目まぐるしい時を過ごして、私はフリーランスとして独立した。
激務過ぎて正直あまり思い出がないが、それでも会社員時代に数々の顧客の信頼を経たのは大きな財産だ。
いくつも迷って、戸惑って、修業して。お客さんが喜んでくれるし、自分の得意なことで稼げる。とても本当に幸せな時間を過ごして、これから独り立ちする。
物書きとしての生き方に迷っていた「最中」にであった「あの絵描き」さんは、途中で契約が終わってしまっていた。会社員時代の唯一のトキメキと活力だったなぁと思いながら、あの時オーダーした絵を見つめる。
手にとって見ると、埃まみれ。それほど仕事に邁進して絵なんて楽しむ余裕がなかったんだなと、しみじみと感傷にひたっていた。
・・・あの人、今も活動しているのかな?
ふと思い出して、デスクにあるキーボードを叩く。
確か名前は・・・。あれ?
SNSやホームページを探しても、それらしきものは全然見当たらなかった。
それどころか、本名で検索してみると
?!
行き着いたのは、家族なのか例の同居人のSNSなのか。
あの絵描きさんが行方不明のため、捜索しているとの内容だった。
見覚えのある本人の写真が添付されていたため、間違いないだろう。
その投稿自体も契約が終わった時期と同じ、数年前のこと。そのあとの投稿はない。
あの後、行方不明になったんだ。
衝撃的過ぎて、固まってしまった。
なにも頭に浮かばない。
そんな・・・
せめて、生きていてほしい。
嘘でしょ。
あの作品の数々は、もう見ることが叶わないのかな。
あの時の失恋のショックを上回る、想像もしなかった結末。
しばらく、ぼーっとする日が増えそうだ。
儚く消えた芸術家は、私の心にずっと生きつづけている。
ーあとがきー
実話なのかフィクションなのか、想像にお任せします。
想い人が失踪なんてね。誰が予想できたでしょうか。
この他にも考えているお話はいくつかあるので、貯まったらアレンジしてどこかにまとめようかな?
そもそも、私のサイトすら見てもらっているのかってね。
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