夢小説 ~番外編~

今までのお話 ~憧れの絵描きさんは意外と柔らかく笑う人でした~

その1

その2

その3



あれから数年。目まぐるしい時を過ごして、私はフリーランスとして独立した。

激務過ぎて正直あまり思い出がないが、それでも会社員時代に数々の顧客の信頼を経たのは大きな財産だ。

いくつも迷って、戸惑って、修業して。お客さんが喜んでくれるし、自分の得意なことで稼げる。とても本当に幸せな時間を過ごして、これから独り立ちする。



物書きとしての生き方に迷っていた「最中」にであった「あの絵描き」さんは、途中で契約が終わってしまっていた。会社員時代の唯一のトキメキと活力だったなぁと思いながら、あの時オーダーした絵を見つめる。


手にとって見ると、埃まみれ。それほど仕事に邁進して絵なんて楽しむ余裕がなかったんだなと、しみじみと感傷にひたっていた。


・・・あの人、今も活動しているのかな?

ふと思い出して、デスクにあるキーボードを叩く。


確か名前は・・・。あれ?


SNSやホームページを探しても、それらしきものは全然見当たらなかった。

それどころか、本名で検索してみると


?!


行き着いたのは、家族なのか例の同居人のSNSなのか。

あの絵描きさんが行方不明のため、捜索しているとの内容だった。

見覚えのある本人の写真が添付されていたため、間違いないだろう。

その投稿自体も契約が終わった時期と同じ、数年前のこと。そのあとの投稿はない。

あの後、行方不明になったんだ。


衝撃的過ぎて、固まってしまった。

なにも頭に浮かばない。


そんな・・・

せめて、生きていてほしい。

嘘でしょ。

あの作品の数々は、もう見ることが叶わないのかな。


あの時の失恋のショックを上回る、想像もしなかった結末。

しばらく、ぼーっとする日が増えそうだ。



儚く消えた芸術家は、私の心にずっと生きつづけている。




ーあとがきー

実話なのかフィクションなのか、想像にお任せします。

想い人が失踪なんてね。誰が予想できたでしょうか。


この他にも考えているお話はいくつかあるので、貯まったらアレンジしてどこかにまとめようかな?


そもそも、私のサイトすら見てもらっているのかってね。


rikka's Diary

自分にしか書けないこと

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